スパルタンシリーズについて
分子モデリングを行うにはソフトウェアが当然必要となります。フリーウェアではMOPACなど優れたプログラムが複数存在します。しかしフリーウェアの多くはコマンドラインインターフェースで「気軽に使う」には多くのコンピュータ知識が必要になります。
市販の分子モデリングソフトも複数あります。研究室レベルで購入可能な価格帯で代表的なものとしてChem3D, HyperChem,などが挙げられます。
Chem3Dは、ChemOfficeファミリーの一部として開発されており、取り扱いもやさしいのですが、MM2に改良が加えられており、オリジナルのMM2ではできなかった官能基をもった分子の計算実行が可能です。反面、ブラックボックス的な要素が大きくなってしまい、計算の内容が全く見えず、計算結果の検証が困難です。
分子の安定配座を求める場合、配座解析が重要になりますが、多くのソフトは分子動力学法がパッケージされています。分子動力学計算では、温度の設定やシミュレーション時間等の設定が重要で、これらの決定には経験が必要ということもあります。

Spartanの場合、まずマニュアルが薄いことが最大の特徴といえます。Spartan2008までは冊子体でマニュアルが配布されていましたが、チュートリアルを含めて厚さが1センチ程度と他の分子モデリングソフトに比べ圧倒的に薄いといえます。プログラムの機能は、他のソフトとそん色が無いことを考えれば、数学やパソコンに弱い有機化学屋にはとっても嬉しいことです。
 配座解析には、配座発生法を採用しており確実な配座解析ができるのも特徴です。(、CONFLEX、MACROMODELは配座発生法を採用しています。)配座発生については、分子の複雑さによって、配座発生に系統的発生法からモンテカルロ法をに自動的に変更されます。

Spartanを講義に用いておりますが、http://www.jstage.jst.go.jp/article/cicsj/26/4/26_106/_article/-char/ja に記載しましたので参考にしてください。